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【囲碁ライブ】一力遼名人ー芝野虎丸十段【第50期囲碁名人戦第1局2日目】

 先勝するのはどちらか――。一力遼名人(28)=棋聖・天元・本因坊と合わせ四冠=に芝野虎丸十段(25)が挑戦する第50期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第1局は27日、鹿児島市の「城山ホテル鹿児島」で前日から打ち継がれる。

 現代碁界の覇権を担う若き両雄が50年目を迎えた節目の名人位を争う。昨年の第49期七番勝負と名人、挑戦者の立場を入れ替えての再戦で一力は初防衛を、芝野は復位を目指す。

 対局は2日制で持ち時間各8時間。1日目は先番の名人の攻勢を巧みにさばいた挑戦者が優位に進め、名人が101手を封じて打ち掛けとなった。

 消費時間は名人2時間53分、挑戦者4時間38分。27日午前9時に再開し、夜までに終局する見込み。朝日新聞のデジタル版では、七番勝負の模様をタイムラインで徹底詳報する。

  • 【1日目詳報】流れは芝野挑戦者 劣勢の一力名人、控室「いい手見えない」

一力名人の漆黒ルック

 2日目の一力名人は黒のジャケット、黒のシャツ。漆黒ルックは今年に入って好んでセレクトしているスタイルだ。つやめくフューシャピンクのネクタイとの組み合わせは7月2日、やはり芝野十段の挑戦を受けた本因坊戦五番勝負最終局で辛くも防衛を果たした際と全く同じ。ゲン担ぎをするタイプだけに、意識してのものと思われる。

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漆黒スタイルの一力遼名人=2025年8月27日午前9時2分、鹿児島市の城山ホテル鹿児島、北野新太撮影

 一方の芝野挑戦者は、いつもと同じオーソドックスなスタイル。ただ、後頭部に寝癖がピョコンとハネている。将棋の羽生善治九段を思わせる「アンテナ」だった。

9:50

浴衣のプロ棋士が指導碁

 午前9時半から、鹿児島市中央公民館(同市山下町)でプロ棋士による指導碁が始まった(1局3千円)。

 夏らしく浴衣姿の棋士が、囲碁ファンと向き合っている。その中に、怪しげな姿の男性が一人。碁盤をかたどった帽子(?)をかぶっている。

 指導する木部夏生三段は「こんなの笑わないわけないですよね」と笑っている。

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「碁盤くん」(手前左)との指導碁に、木部夏生三段(右)も思わず笑顔=2025年8月27日午前9時40分、鹿児島市、照井琢見撮影

 男性にその素性を聞こうとすると、「碁盤くんです。それ以上でも以下でもありませんから」。いわく、鹿児島対局で訪れた棋士たちを歓迎するための格好。「ウケてよかったです」

 会場では、午後1時半から大盤解説会もスタートするが、並行して指導碁も続く。もちろん普段着での参加でOKです。

9:40

ヨセ勝負へ

 名人の封じ手、黒1は検討陣予想の一手。以下白8まで、黒は隅の白地を値切ったが左辺の黒三子を見限った。名人は非勢ながらヨセ勝負に託したか。

 挑戦者のほうも途中、白6で7に打つがんばりも考えられた。白6の補強抜きに、左辺の黒三子をにらみ殺しにする算段だが、白6の安全策を選んだところに、挑戦者が優勢を意識していることがうかがえる。

写真・図版
〈途中図〉先番・一力名人(101―108手)

 AIの評価によると、白のリードは6~7目。トップ棋士同士の碁ではかなりの差だが、逆転力に定評のある名人がどう追い込めるか。

9:00

対局再開

 2日目の再開は午前9時、まずは芝野挑戦者が対局室に現れた。1日目に続いて、盤上を丁寧に拭く。そして一力名人が入室した。

 定刻になると、立会人の高尾紳路九段の合図で、両対局者が昨日の手順通りに石を並べていく。高尾九段が、名人の101手目の封じ手が入った封筒をはさみで開き、「封じ手は3の十六」と告げる。

 鹿児島は今日も晴天。対局室から望むホテルの庭から晩夏のセミたちの鳴き声が響き渡っていた。

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立会人の高尾紳路九段が示す封じ手を確認する芝野虎丸十段(右)。手前左の一力遼名人が封じ手を打ち、対局が再開された=2025年8月27日午前9時5分、鹿児島市の城山ホテル鹿児島、菊池康全撮影

1日目総括

AI評価、挑戦者の勝率97%

 挑戦者の100手目△を見て、名人は午後5時31分、8分の考慮で次の手を封じた。焦点は、左辺の白模様に突入した黒の一団をどうまとめて整形を図るか。

 しかし解説の本木克弥九段は…

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